目的
見つけた判断の価値を評価し、実装対象とする判断を選びます。
答える問い
どの判断を実装対象にするか
できあがるもの
評価結果と選定理由、実装対象の判断、設計・記録の優先度、実装計画へ渡すメモ
なぜJULIAが必要なのか
Phase1 Discoveryでは、多くの業務上の判断(Judgement Point:JP)が発見されます。
しかし、発見されたすべてのJPを同時に分析・設計・実装することは現実的ではありません。
企業活動には数十、場合によっては数百の判断が存在します。
そのためJDAでは、
「どの判断から着手するべきか」
を決定する工程が必要になります。
Phase2 JULIAは、そのために判断の価値を評価し、実装対象を選ぶフェーズです。
JULIAとは
JULIA(Judgement Scorecard)は、JPの価値を評価し、実装対象を選ぶための評価フレームワークです。設計を優先する判断と、先に記録を取りたい判断も整理します。
JULIAを用いて判断を評価し、効果や学習価値が見込まれるJPを選びます。
JDAでは、
- 発見したJP
- 設計対象とするJP
- 実装対象とするJP
を同一視しません。
まず重要な判断から着手し、実証と学習を進めることを重視します。
ここで対象に選んだことは、開発費用や実装範囲まで決定したことを意味しません。Phase3で判断を、Phase4で記録・評価を設計したうえで、Phase5の実装計画(Implementation Planning)で範囲と見積もりを整理し、投資判断を行います。

J:事業への経済的影響(Judgement Financial Impact)
その判断が事業や収益にどれだけ影響するか。
売上、利益、顧客獲得、コスト削減などへの影響が大きい判断ほど優先度は高くなります。
発生頻度が低くても、事業への影響が大きい判断は重要な候補となります。
U:頻度・緊急性(Urgency & Frequency)
その判断がどれだけ頻繁に発生し、どれだけ迅速な対応を求められるか。
毎日発生する判断や、判断の遅れが業務全体に影響する判断は優先度が高くなります。
L:判断の遅れによる停滞(Latency)
その判断によって業務が停滞しやすいか。
担当者が迷いやすい判断や、確認作業が多く発生する判断は、組織全体の生産性へ影響を与えます。
I:影響範囲(Influence Scope)
その判断が後続工程や他部門、顧客へどれだけ影響するか。
誤った判断による手戻りや連鎖的な影響が大きい場合、優先的に改善する価値が高くなります。
A:適応・学習価値(Adaptive / Learning Value)
その判断を記録し、学習する価値があるか。
JDAでは単なる効率化だけではなく、判断知識を組織資産として蓄積できるかを重視します。
材料の改善や、将来のAIへの判断委譲を検討するための記録を残せるかも見ます。
JULIAの考え方
JULIAは点数を競うための表ではありません。評価軸の重みは業務や組織によって異なります。評価理由をもとに、最初に取り組む判断を選びます。
進め方
- Phase1の判断一覧を確認します。 「この候補を営業対象として採用するか」など、比較する判断の対象・主体・状態変化を揃えます。粒度が違う場合は、Phase1へ戻って整理します。
- 5つの軸で相対評価します。 高・中・低の3段階で評価し、理由を残します。初期は概算で構いませんが、作りやすさだけでは選びません。
- 最初の対象を選びます。 上位1〜3件を目安に絞り、まず取り組む判断を決めます。それ以外は次点として残し、合計点だけで全件を順位付けしません。
- 設計と記録の優先度を分けます。 先に詳しく設計する判断と、先に記録を取りたい判断を整理します。すぐに設計・実装しない判断にも、観測する価値はあります。
- 次の設計へ引き渡します。 選定理由と、必要な材料、取得・記録・評価の難しさ、既存運用との接続候補、不明点をメモに残します。Phase3・Phase4で具体化し、Phase5の実装計画へ渡します。
記録の型
高・中・低は、比較する判断の中での相対評価です。以下は説明用の仮の評価で、実証結果ではありません。J・U・L・I・Aは、上で説明した5つの軸です。
| 判断 | J | U | L | I | A | 選定 | 理由 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| この候補を営業対象として採用するか | 高 | 高 | 高 | 中 | 高 | 最初の対象 | 営業対象の選び方が成果に関わり、判断待ちが多く、材料を見直す価値も高いと仮定 |
| この顧客に今接触するか | 中 | 高 | 中 | 中 | 中 | 次点 | 接触時期の記録は先に取りたいが、まず候補の採用判断を対象にすると仮定 |
対象に選ぶことと、実装への投資判断は別です。実装範囲と見積もりは、Phase5で整理します。
次へ進む前の確認
- 5つの軸の評価と、その理由が残っていますか。
- 最初の対象を選び、設計と記録の優先度を分けましたか。
- 引き渡すメモに、材料・接続候補・不明点を残しましたか。
詳しくは、JDA MethodのPhase2を参照してください。
成果物
Phase2 JULIAでは、以下を成果物とします。
- JULIA評価結果と選定理由
- 実装対象JP
- 設計優先度とログ観測優先度
- 実装計画への引き渡しメモ
Next
Phase3 Designでは、選定したJPと設計優先度をもとに、判断構造を設計します。
JDAでは、JSC(Judgement State Chart)とJDC(Judgement Design Canvas)を利用して、判断の状態、条件、解釈、役割分担を整理します。