判断を学習する
Phase4では判断を記録した。
Phase5では判断を実装した。
しかし、判断を記録し、実装しただけでは組織は進化しない。
重要なのは、
- なぜその判断をしたのか
- その判断は妥当だったのか
- 次も同じ判断をするべきなのか
を継続的に振り返り、改善することである。
Phase6 Learningは、判断を学習し、組織の判断能力を向上させるための工程である。
なぜ学習が必要なのか
判断は一度作れば終わりではない。
組織や市場の状況は変化し続ける。
そのため、一度設計した判断も継続的に見直し、改善していく必要がある。
JDAでは、この継続的な改善を Learning と呼ぶ。
判断は結果によって評価される
判断した瞬間には、その判断が正しかったかどうかは分からない。
例えば、
- 提案するべきと判断した
- アタリだと判断した
- 優先度が高いと判断した
としても、
その後どうなったかは時間が経たなければ分からない。
そのためJDAでは、
JLog
↓
結果観測
↓
VLog
という流れで判断を評価する。

学習の出発点は、判断そのものではなく、その判断結果の振り返りにある。
Stage0:Validity Capture
Learningを成立させるためには、まずVLogを継続的に取得できる状態を作らなければならない。
多くの組織では判断は行われるが、その結果が評価されない。
そのため、
- 受注した
- 失注した
- 成功した
- 失敗した
といった結果を、判断単位で継続的に取得できる仕組みを整備する。
この段階では判断モデルを改善しない。
目的は、判断結果の妥当性評価(VLog)を取得できる基盤を構築することである。
Stage0が成立して初めて、Stage1以降のLearningが始まる。
Stage1:Judgement Assistance
最初の段階では、AIは判断を行わない。
AIの役割は、判断材料を支援することである。
例えば、
- 類似案件を提示する
- 過去の判断を提示する
- 不足情報を指摘する
- 判断理由の入力を補助する
といった支援を行う。
判断主体は人間であり続ける。
Stage2:Judgement Reproduction
JLogとVLogが蓄積されると、過去の判断パターンを再現できるようになる。
例えば、
- どの情報を見ていたのか
- どのような判断をしていたのか
- その結果どうなったのか
を参照しながら、AIが判断候補を提示できるようになる。
この段階でも、最終判断は人間が行う。
Stage3:Judgement Delegation
十分な学習が行われた場合、一定条件下では判断をAIへ委譲できる可能性がある。
ただし、委譲は目的ではない。
重要なのは、
- 判断責任は誰が持つのか
- どの条件なら委譲可能か
- どの判断は人間が維持すべきか
を明確にすることである。
JDAにおいて委譲は、学習の結果として選択可能になる手段である。
Learning Cycle
JDAのLearningは、
Validity Capture
↓
Judgement Assistance
↓
Judgement Reproduction
↓
Judgement Delegation
という段階を持つ。
組織は、このサイクルを繰り返しながら判断能力を改善していく。
Phase6の成果物
Phase6では以下を扱う。
- JLog分析
- VLog分析
- 判断パターン抽出
- 類似ケース分析
- 学習ルール定義
- 委譲条件定義
これらは、組織の判断能力を継続的に改善するための基盤となる。
判断を資産にする
業務データだけでは、組織は学習しない。
本当に価値があるのは、
- なぜその判断をしたのか
- 何を見ていたのか
- その判断は妥当だったのか
という判断データである。
JLogとVLogが蓄積されることで、判断は個人の経験から組織の資産へ変わる。
Phase6 Learningによって、判断は一度きりの記録ではなく、組織が継続的に進化するための資産になる。