JDAの主要概念
このページは、JDAの主要概念を確認するための用語集です。Methodを読む途中で分からない言葉が出てきたときに参照してください。
業務の中には、何を選び、どう進めるかを決める判断があります。判断によって対象の状態が確定し、そのときの材料や理由を記録します。その後の結果と評価を結びつけ、次の判断で何を見直すかを考えます。
Business Journey(BJ)
判断を探す範囲となる、業務のまとまりです。
判断を発見するための業務スコープです。業務を意味のあるまとまりとして捉え、その中から判断の単位(JP)を発見します。詳細な処理手順そのものではありません。
例えば、
- 新規クライアントの獲得
- 提案活動
- 制作進行
- 請求処理
- 入金確認
などがBJとなります。
Judgement Point(JP)
業務の中で「〜するか」を決める、判断の単位です。
状態を確定させる最小判断単位です。「この候補を営業対象として採用するか」などの問いとして表現します。発見時には業務のまとまり(BJ)を範囲としますが、発見後は複数のBJから参照できる判断資産として扱います。
例えば、
- この候補を営業対象として採用するか
- この顧客に今接触するか
- この案件を優先するか
といった「〜するか?」の判断がJPとなります。
JDAでは、JPを業務改善やAI活用の基本単位として扱います。
顧客ジャーニー/企業ジャーニー(Customer Journey / Operations Journey)
顧客と企業の行動や状態から、判断を見つけるための整理です。
対象の業務の実ケースについて、顧客と企業それぞれの行動・状態を時系列で整理したものです。判断を見つけるための中間成果物として作ります。次のPhaseへ渡す主な成果物は、判断の一覧(JP一覧)です。
JULIA(Judgement Scorecard)
判断の価値を比べ、実装する対象を選ぶための評価です。
JPの価値を評価し、実装対象を選ぶためのフレームワークです。実装範囲の見積もりと投資判断は、Phase5の実装計画で行います。JULIAは通称であり、正式名称はJudgement Scorecardです。
評価軸は次の5つです。発見した判断、設計する判断、実装する判断を区別します。
- J:事業への経済的影響(Judgement Financial Impact) 判断が事業や収益に与える影響
- U:頻度・緊急性(Urgency & Frequency) 判断の発生頻度および緊急性
- L:判断の遅れによる停滞(Latency) 判断に迷いや停滞が発生している度合い
- I:影響範囲(Influence Scope) 他業務・他部門・顧客への影響範囲
- A:適応・学習価値(Adaptive / Learning Value) 学習資産としての価値
State
判断の対象が、今どのような状態にあるかを表します。
Stateは、判断対象が現在どのような状態にあるかを表します。
例えば「この候補を営業対象として採用するか」であれば、
- 未評価
- 採用
- 見送り
- 保留
といった状態が存在します。状態名は説明用です。
JPはStateを変化させます。
Case / Proposal
何を1件として判断するかを表します。
Caseは判断対象単位であり、対象と文脈の組み合わせ(Entity × Context)で表します。ProposalはCaseを実行系に具体化したインスタンスです。具体構造は対象業務ごとに定義します。企業と企画の組み合わせ(Company × Campaign)はその一例です。
例:「この候補を営業対象として採用するか」なら、候補Aと「媒体Xの特集」という文脈を組にして考えます。その組み合わせを実行時の一件として扱います。これは説明用の例です。
JSC / JDC
判断による状態の変化と、決め方の中身を設計します。
JSC(Judgement State Chart)は、判断対象が取り得る状態と、判断(JP)による状態遷移を定義します。
JDC(Judgement Design Canvas)は、目的(Purpose)/判断対象(Subject)/判断材料(Data Sources)/条件(Conditions)/観点(Perspectives)/判断結果(Decision)/判断主体(Actor)/判断責任(Accountability)/出力(Output)の9要素で判断を設計します。
JSCに処理手順を書き込むのではなく、判断設計をもとにPhase5で必要なタスクと実行フローを具体化します。
JLog / Judgement Snapshot
何を見て、なぜそう決めたかを、当時の情報とともに残します。
JLogは、誰が何を、どの材料で、なぜ判断したかを残す記録です。Judgement Snapshotとして、判断開始文脈(Exploration Context)/判断対象(Candidate Snapshot)/判断材料(Decision Context)/判断(Judgement)の4層を扱います。4層は処理の順番ではなく、判断時点の情報構造です。
判断材料が欠けていた場合は、その内容と把握できた欠損理由も記録します。
例:候補Aを「特集との適合が高い」として採用したとき、媒体Xの特集向けに探した経緯、候補の情報、参照した公式情報、取得できなかった接触履歴、判断者と採用理由を一緒に残します。説明用の記録例です。
VLog
その判断が妥当だったかを、後から確かめて残す記録です。
判断後の妥当性評価を記録します。結果に加え、判断時の材料・理由や人による判断修正理由も扱います。その後の実行状況も踏まえて検証します。評価に必要な情報が揃っていない状態と、評価済みの状態を区別できるように設計することが望まれます。
例:採用した候補Aにまだ接触していなければ、営業成果は未評価です。一方、履歴を確認できないまま採用した点は見直し、情報が欠けた場合の保留基準を検討します。前の判断記録に対応する、説明用の評価例です。
実装計画(Implementation Planning)
作る範囲と費用・負担を整理し、実装に進むかを決めます。
実装を扱うPhase5の最初に行う活動です。選んだ判断について必要なタスクを洗い出し、作る範囲と見積もりを整理して、実装に進むかを決めます(投資判断)。範囲が小さい場合は、短いメモで足ります。
Judgement Slice/Operational Bridge
判断を動かす最小構成と、前後の既存業務とのつなぎです。
選んだ判断を現場で運用できる最小構成を、Judgement Sliceと呼びます。業務全体を一度に作らず、この範囲から実装します。前後のまだ作っていない工程は、Excel・既存システム・手作業など今ある方法でつなぎます。このつなぎをOperational Bridgeと呼びます。
JJ(Judgement Journey)
実際に行われた判断が、どうつながっているかを表します。
JJは、複数のJPが連続して実行される流れです。
Judgement Harness
判断の実行・状態の更新・記録をそろえて扱う基盤です。
Judgement Harnessは、判断(JP)を統一的に実行・記録するための共通基盤です。
JDAでは、判断を各画面や各機能へ埋め込むのではなく、外部定義されたJPとして管理します。
Judgement Harnessは、
- 状態
- 入力
- 実行
- ログ
を統一し、判断を再現可能かつ学習可能な形で運用します。
複数の業務で同じ仕組みを使えるかは、これから検証します。
Judgement Injection/execute_jp
判断の中身を外に持ち、同じ手順で実行・記録する仕組みです。
Judgement Injectionは、判断の中身をプログラムの外に定義として持ち、実行時に組み込む実装パターンです。execute_jpは、現在状態の取得、判断の実行、状態遷移、判断時の記録(JLog)の保存をまとめて行う共通の関数です。
既存の基盤が扱えない判断の形式には、基盤側の見直しが必要です。
Learning Cycle
判断の記録と評価を使い、次の判断を見直す循環です。
Learning Cycleは、判断時の記録(JLog)と事後評価(VLog)の蓄積を前提に、判断を継続的に改善するための循環です。
JDAでは、Learningは以下の段階で進みます。
- Stage0:評価を続けるための基盤(Learning Foundation)。VLogを継続的に取得できる評価基盤を作ります。
- Stage1:判断材料の学習・改善(Judgement Material Learning)。判断材料の収集・整理・提示を改善します。
- Stage2:判断の再現学習(Judgement Reproduction Learning)。AIが過去判断の再現を試み、人が妥当性を確認します。
- Stage3:判断の委譲(Judgement Delegation)。評価と責任設計を踏まえ、判断を条件付きでAIへ委譲します。
Stage0では判断モデルを改善しません。記録の蓄積と、改善・委譲の成立は区別します。