目的
記録をもとに判断を評価し、判断材料や基準を見直します。
答える問い
その判断は妥当だったか
できあがるもの
記録の分析、見直した判断材料・基準、AIに任せる条件の整理
判断を学習する
Phase4で記録と評価を設計し、Phase5で実際に記録できる仕組みを動かしました。
ここでは、その記録をもとに、次の判断で何を見直すかを考えます。
Phase6 Learningは、判断を学習し、組織の判断能力を向上させるための工程です。
なぜ学習が必要なのか
判断は一度作れば終わりではありません。
組織や市場の状況は変化し続けます。
そのため、一度設計した判断も継続的に見直し、改善していく必要があります。
JDAでは、この継続的な改善を Learning と呼びます。
結果と妥当性を分けて評価する
結果が良かったことだけで、判断が良かったとは限りません。判断時の材料、理由、後続の実行、結果が出るまでの時間を確認します。例えば営業では、未接触・結果待ち・接触後の反応なしを区別して記録できるように設計することが望まれます。反応なしという結果だけで、判断が不妥当だったとは決めません。
ログが増えること、改善を行うこと、改善効果を確認することは、それぞれ別の段階です。
評価と改善の循環(Learning Cycle)
Learningは、判断の記録を評価し、材料・条件・観点を改善する循環です。組織の学習と、AIによる判断再現・委譲の検証を扱います。
Stage0:評価を続けるための基盤(Learning Foundation)
判断記録と後続の結果を結びつけ、事後の妥当性評価(VLog)を継続的に取得できる基盤を作ります。この段階では、判断モデルの改善を行いません。
Stage1:判断材料の学習・改善(Judgement Material Learning)
判断材料の収集・整理・加工・提示を改善し、人が判断しやすい状態を作ります。VLogから得られた知見を材料やAIへの指示の見直しに使い、効果を検証します。
Stage2:判断の再現学習(Judgement Reproduction Learning)
AIが過去判断の再現を試み、人が確認します。過去判断に似ているかだけでなく、VLogを踏まえて判断の妥当性を検証します。
Stage3:判断の委譲(Judgement Delegation)
評価と責任設計を踏まえ、条件付きで判断をAIへ委譲します。人による確認・修正や、委譲範囲を超える場合の引き継ぎを設計します。

実証状況
2026年10月時点の実証では、営業業務の1つのプロセスを取り上げています。営業対象として採用した候補について、判断の記録(JLog)とその後の営業の状況を結びつけ、評価の記録(VLog)が自動で溜まる仕組み(Stage0)を本番で動かしています。見送った候補の追跡は、この実証範囲に含まれません。
判断基準の改善と効果の検証は今後の課題です。この実装は、判断品質や売上の改善が実証済みであることを意味しません。
進め方
- まず1つの判断を振り返ります。 「この候補を営業対象として採用するか」の判断時の記録(JLog)と、その後の評価(VLog)を対応づけます。評価が取れていなければ、先に記録・評価の仕組みを整えます。
- 結果と判断の妥当性を分けて見ます。 未接触・結果待ち・接触後の反応なしを区別し、当時の材料や理由が適切だったかを確認します。人が判断を修正した場合は、何が足りなかったかも見ます。
- 見直す箇所を絞ります。 例えば接触履歴の欠損が繰り返されるなら、材料の取得・提示や保留の条件を見直します。必要に応じて観点、選択肢、状態遷移、画面、AIへの指示も検討します。
- 見直しを次の判断対象へ反映します。 変更は、実行中の対象には途中で適用せず、次に生成する対象から適用します。判断の定義そのものの自動更新は行いません。
- 次の運用で変化を確かめます。 材料不足や迷う時間、評価の内容を見て、改善につながったかを確認します。複数の判断が連鎖する場合は保留や離脱も観測し、必要に応じてPhase1の発見、Phase2の選定、Phase3の設計へ戻ります。
次へ進む前の確認
- 判断時の情報と事後評価が結びつき、未評価のものを区別できていますか。
- 結果だけで決めつけず、材料・理由・修正の経緯を確認しましたか。
- 見直す箇所と適用する対象が明確で、次の運用で確かめられますか。
- 記録が増えたこと、改善したこと、効果を確認できたことを分けて説明できますか。
Learningは完了して終わる工程ではありません。この確認を、次の改善サイクルへ進む目安にします。
詳しくは、JDA MethodのPhase6を参照してください。
Phase6の成果物
Phase6では以下を扱います。
- JLog分析
- VLog分析
- 判断パターン抽出
- 類似ケース分析
- 学習ルール定義
- 委譲条件定義
これらは、組織の判断能力を継続的に改善するための基盤となります。
判断を資産にする
判断理由と材料を、事後評価と結びつけて見直し、次の判断に活かします。記録の保存だけで学習が完了するわけではありません。
Next
改善内容に応じて、判断の発見・選定・設計へ戻り、次の運用で確かめます。
Implementationでは、JDAを導入するときの考え方をまとめています。