Phase1 Discovery

このPhaseで行うこと

目的
対象の業務の中で、実際に何を決めているかを洗い出します。

答える問い
その業務の中で、何を決めているか

できあがるもの
顧客ジャーニーと企業ジャーニー、判断の一覧(JP一覧)、精査の記録

なぜDiscoveryが必要なのか

候補を探す。情報を確認する。一覧に登録する。

こうした作業の間には、「この候補を営業対象として採用するか」という判断があります。

Phase1では、対象にする業務(Business Journey:BJ)の実ケースをたどり、何を決めると、その後の状態や行動が変わるのかを確認します。作業名だけでは見えにくい判断を、問いとして取り出します。


顧客ジャーニー(Customer Journey)

対象BJの実ケースについて、顧客の状態と、その変化を把握するために必要な行動を時系列で整理します。

判断が発生する場面を確認できる粒度にまとめます。確認できた事実と推測を区別し、分からない状態を無理に埋める必要はありません。

例

  • 未認知
  • 接触を受ける
  • 反応する
  • 検討する
  • 意思決定する

「この候補を営業対象として採用するか」を判断する時点では、顧客はまだ「未認知」で、関心や意向を確認できていないことがあります。その後の状態は、実ケースで確認できた範囲で整理します。


企業ジャーニー(Operations Journey)

企業ジャーニーは、対象BJにおける企業側の行動と業務上の状態を時系列で整理したものです。

実ケースに基づいて、担当者・部門が行う行動と状態を整理します。必要に応じて、システムによる処理も含めます。

顧客ジャーニーと対応づけ、どこで何を判断しているかを確認します。

例

  • 候補を探す
  • 情報を確認する
  • 営業対象として採用するかを決める
  • 採用した候補を後続の営業活動へ渡す

これは企業側の行動を整理した例です。すべての項目がJPになるわけではありません。


Judgement Point(JP)

JDAでは、業務の中で発生する判断をJudgement Point(JP)として定義します。

JPは、

「〜するか?」

という形式で表現されます。

例

  • この候補を営業対象として採用するか?
  • この顧客に今接触するか?
  • この反応をアタリと見るか?

JPを発見する

顧客ジャーニーと企業ジャーニーを対応づけると、顧客の状態と企業の行動が交わる場面が見えてきます。その場面で「何を決めているか」を確認します。

ただし、JPは交点だけに存在するわけではありません。企業内部の優先順位・割当・例外対応の判断も確認します。BtoCのように、顧客自身の判断が事業成果や後続状態に直接関わる場合は、顧客側の判断も確認します。

ジャーニーの各項目が、そのままJPになるわけではありません。


進め方

  1. 実ケースを1件選びます。 「新規クライアントの獲得」で候補を採用・見送りした実例などを選び、当時の資料と、判断した人の説明を用意します。全パターンを集める必要はありません。
  2. 顧客と企業の行動・状態を対応づけます。 2つのジャーニーを並べ、何が起きた場面なのかを確認します。詳細なフローの完成を待たず、判断を探しながら整理します。
  3. 何を決めているかを問いにします。 「この候補を営業対象として採用するか」のように表します。顧客との接点だけでなく、企業内部の判断も確認します。
  4. 判断の候補を精査します。 答えによって後続の状態・行動・判断が変わるかを確かめ、JPとして採用するか除外するか、その理由と変わる状態を記録します。
  5. 重複と粒度を整理します。 類似する問いをまとめ、大きすぎる判断は分けます。この段階では、判断の良し悪しやAI化の可否を評価しません。
  6. JP一覧にまとめます。 下の型で、判断の内容・主体・状態変化を揃えます。ジャーニーと精査の記録も残し、Phase2へ渡します。

記録の型

JP一覧には、少なくとも次の5項目を記録します。以下は「新規クライアントの獲得」の記入例です。

JP名対象業務(BJ)概要判断主体状態変化
この候補を営業対象として採用するか新規クライアントの獲得調べた候補を営業対象に含めるかを決める営業担当者未評価 → 採用/見送り/保留
この顧客に今接触するか新規クライアントの獲得採用した候補に、今接触するかを決める営業担当者未接触 → 接触する/待つ

この表には精査後の判断を載せます。別のメモに、判断候補、JPとしての採用・除外、その理由、答えによって変わる状態を残します。ここでいう「JPとして採用」は、営業候補の「採用」とは別です。

状態名は説明用の例です。実際の状態は、Phase3で対象業務に合わせて設計します。


次へ進む前の確認

  • 実ケースとジャーニーから、判断を見つけた根拠を説明できますか。
  • 各判断の答えによって、何の状態や行動が変わるか分かりますか。
  • JPとしての採用・除外の理由を残し、重複や粒度を整理しましたか。
  • 誰が何を判断しているかが、Phase2で比較できる一覧になっていますか。

詳しい精査・整理方法は、JDA MethodのPhase1を参照してください。


Output

Phase1 Discoveryの成果物

  • 顧客ジャーニー(Customer Journey)
  • 企業ジャーニー(Operations Journey)
  • Judgement Point一覧(JP一覧)
  • JP精査記録
  • 必要に応じて、JP統合・除外理由メモ

2つのジャーニーは、JP抽出のための中間成果物です。抽出の根拠を振り返れるように保存します。

Phase2へ渡す主成果物は、抽出・精査・整理したJP一覧です。ジャーニーや精査記録は、その判断が発生する文脈と、採用・除外の理由を確認するために使います。


Next

Phase2 JULIAでは、発見したJudgement Point(JP)を評価し、どの判断を実装対象にするかを選びます。

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